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後編3-No.64文書

近衛竜山書状

(慶長元年)五月八日

確認度

概要

近衛龍山前久が武庫(島津義弘)へ、血がたまったように見える馬は、早々に熟練者に血を取らせ、十分に冷やせば差し支えないと助言し、「かけとひ」の馬の乗り方や扱いにも触れた。また、船の世話への謝意を述べ、美しい猫三匹を所望し、鶴毛の馬を見事として秘蔵するよう勧めた。さらに三光庵は吉事によって誉れを得たので、他人へ譲らず乗り替えに用いるよう伝えた書状。

登場人物

近衛龍山前久、武庫(島津義弘)

宛先

武庫

キーワード

近衛前久、近衛龍山、島津義弘、武庫、馬、瀉血、冷却、かけとひ、船、猫三匹、鶴毛、三光庵、秘蔵、乗り替え、書状

冊子頁

24

読込量

面白さ

★★★★☆

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(1)例言・目次・本文1~135頁(文禄5~慶長2).pdf

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採用済みの翻刻・訳文

3

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原文写し

管理人採用済み
すそニ少血たまりさうにみえ申候者、早ゝ上手ニ血をとらせられ、よく御ひやし肝要候、よくひやされ候ハ、不可有別儀候与存候、又かけとひの馬不被召置候哉、かけとひハ鞍をもミ、年寄候てハ、くたひれ申候のにて候由申習候、され共馬のふり弥敷思召候ハ、めしをかれ尤候哉、かけとひの乗様聊心持候、習申候間、乍憚重而可申候、又彼船御肝煎之由、祝着申候、弥可然之様、此節之御馳走専一候、 又此便宜ニ、うつくしく候はんねこ二疋大望候、これ又被仰遣可給候、かたく以面可申候、 昨日者御物語申、難忘候、昨夕ハ草庵へも可申入与存候處、北野へ御参之由候間、無其義候、其以前ニ以参可申与存候へハ、早御立出之由候間、無其義候、扱ハ鴾毛之御馬見事ニ存候、可有御秘蔵候、三光旋候、是ハ吉事共出来、誉を取旋にて候条、旁人に不被遣、御乗かへニ目出度存候、よくかハれ、ひらくひ・をつさまへ、しゅか入り候ハ、駿にもおとり不申候、 五月八日 武庫(花押) 山(花押)
根拠・参照箇所
geminiを活用した原文写し
投稿者
keicho
投稿日
2026-08-10

書き下し文

管理人採用済み
すそに少(少し)血たまりそうに見え申し候はば、早々上手に血をとらせられ、よく御冷やし(ひやし)肝要に候、よく冷やされ候はば、別儀あるべからず候と存じ候、又かけとひ(駆け飛び)の馬召し置かれず候や、かけとひは鞍をもみ、年寄り候ては、くたびれ申し候のにて候由申し習い候、されども馬のふり弥(いよいよ)しく思召し候はば、召しおかれ尤(もっとも)に候や、かけとひの乗様(のりよう)聊(いささか)心持ち候、習い申し候間、憚りながら重ねて申すべく候、又彼(かの)船御肝煎の由、祝着に申し上げ候、弥(いよいよ)然るべきの様、この節の御馳走専一に候、 又この便宜(ついで)に、うつくしく候はん猫二疋大望(たいもう)に候、これ又仰せ遣わされ給うべく候、かたく面(おもて)を以て申すべく候、 昨日は御物語(おんものがたり)申し、忘れ難く候、昨夕は草庵へも申し入るべく候と存じ候処、北野へ御参りの由に候間、その義無く候、その以前に参りを以て申すべくと存じ候へば、早く御立ち出での由に候間、その義無く候、扱(あつ)は鴾毛(ときげ)の御馬見事に存じ候、御秘蔵あるべく候、三光(さんこう)旋(つむじ)にて候、これは吉事共出来し、誉(ほまれ)を取る旋にて候条、旁(かたがた)人に遣わされず、御乗替えに目出度く存じ候、よくかわれ、ひらくひ(平首)・をつさま(尾の様)へ、しゅ(朱)が入り候はば、駿(しゅん)にも劣り申さず候、 五月八日 山(近衛前久・花押) 武庫(島津義弘)殿
根拠・参照箇所
geminiを活用した書き下し文
投稿者
keicho
投稿日
2026-08-10

現代語訳

管理人採用済み
(馬の)すその部分(脚の付け根や蹄のあたり)に少し血が溜まりそうに見えましたら、すぐに腕の良い者に血抜きをさせ、しっかりと冷やすことが肝要でございます。しっかり冷やしておけば、特に問題は起こらないと存じます。また、「かけとひ(放牧や野山で鍛えられた駿馬)」はお手元にお留めにならないのでしょうか。「かけとひ」は鞍(くら)の擦れが激しく、年を取ると疲れやすいものだとよく言われております。しかし、馬の姿・体躯がいよいよ素晴らしいとお思いでしたら、そのまま飼い続けられるのが最もでございましょう。「かけとひ」の乗りこなし方について、私にも多少心得がございます。学んでおりますので、恐縮ながら重ねてアドバイスさせていただきます。また、例の船のお手配にご骨折りいただいているとのこと、大変嬉しく存じます。ますます万全となりますよう、この時期のご配慮が何より大切でございます。 また、ついでではございますが、毛並みが美しかろう猫を2匹、大いに欲しく思っております。これについても、どうか(配下の者に)言いつけてお送りくださいませ。詳しいことは、いずれ直接お会いした際にかたく申し上げます。 昨日は(あなた様と)じっくりお話しでき、忘れがたい時間となりました。昨日の夕方は(私の)草庵へもお招きしようと考えておりましたところ、北野(天満宮)へお参りになられたとのことでしたので、かないませんでした。それならば、お参りになられる前にこちらから伺ってご挨拶申し上げようと思いましたところ、すでに早くお出かけになったとのことでしたので、それもかないませんでした。それにしても、(あなた様の)鴾毛(ときげ=朱色がかった毛色の馬)のお馬は実に見事で、秘蔵なさるべき名馬と存じます。つむじが「三光旋(頭部などにある3つのつむじ)」ですね。これはめでたい事が次々と起こり、誉れ(名声)を得るという大変縁起の良いつむじでございますので、絶対に他人に譲ったりせず、あなた様の乗り替え用の馬(予備の乗馬)となさるのが誠におめでたいかと存じます。しっかり毛が生え変わり、平首(太く平らでたくましい首)や尾のあたりに美しい朱色(鴾色)が差してまいりましたら、天下の名馬(駿馬)にも決して劣りません。 五月八日 山(近衛前久より) 武庫(島津義弘)殿へ
根拠・参照箇所
gemniを活用した現代語訳
投稿者
keicho
投稿日
2026-08-10