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後編2-No.744文書

島津義弘書状

(天正19年)3月19日

確認度

概要

島津義弘が宰相殿へ、夜に相手の夢を見たこと、月の光や老いの波に重ねて恋しさを語った仮名書きの私信。又一郎や「ゆたん」ら家族の様子、衣類や贈物、月日の暮らしにも細やかに触れ、離れて暮らす妻への思慕と日常感覚が生々しく伝わる。戦況だけでなく家族への心情を読める貴重な書状である。

登場人物

島津義弘、宰相殿、又一郎、ゆたん

宛先

宰相殿

キーワード

島津義弘、宰相殿、夢、又一郎、ゆたん、家族、私信、仮名書き、贈物、思慕

冊子頁

502~503

読込量

面白さ

★★★★★

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(5)457~577頁(天正18~天正20).pdf

COMMUNITY TRANSCRIPTION

採用済みの翻刻・訳文

3

管理人が採用した投稿です。AIを利用した原文写しを含む場合があります。研究・引用の際は鹿児島県公式PDFの原文をご確認ください。

原文写し

管理人採用済み
「島津義弘書状」 「正文在加治木衆城権右衛門」 猶と今夜もそなたを夢にまさしくミまいらせ候て、た、いまけんさん候やうにこそ候つれ、又よきたよりの折ふしハ、さい/\同事成共、ふミにて申のほせ候ハ、、うれしかるへく候、又八郎、ったひ・てならい其外たしなミ、ゆたんなきやうにいけんあるへく候、ちゃう満事もてならいさせ候てしかるへく候、手ほんの事もんせきざまへ申うけ候て、くたし候へく候、又一郎ふうふのあいたよく候由聞へ候て、みっからかこ、ろには、月ほしのひかり待ゑてしよりも、うれしくこそ候へ、折/\のいけんにも間よきやうにまうさせ給へ、又若嶋・卒松へ茂、其より此方なに事なきよしを、こ、ろへ遣ニ申候、よろつめてたく/\、 後の正月廿六日のふミ、やう/\此ころあひととき候、まつ/\其元上中しもにいたリ、なに事なきよしめでたく候、さきにも申候やうに、此度ハいよ/\かしらの雪をもくつもり、老のなミの立かさなれるおも影、あさか、ミの見ろめ、我なからあさましきまておほえ候、きても/\けんさん候ハ、、かやうにもなりぬる物よと、人たかへにおとろき給ハんとおもふはかりに候、よの中のれいとして、年月(としつき)の暮行ハおしむへき事なるを、はや/\くたるへき折待えてしかなと思ふこ、ろにや、月日のうつるもおそき物にこそ候へ、文(又)一郎とのせつ/\其地へこされ候や、しるへき事に候、又八郎ふうくう(風雅)ゆたんなきよし、かんように候、長満御れうにん〔注:長満御両人トハ久四郎忠清ト御下君ナルヘシ、長満ハ拾歳、御下君ハ八歳ノ御兄弟ニ當レリ〕、いつれも/\おとな/\しく候や、とりわき御れうにんめつらしく候、よろつきねん(祈念)の事ゆるかせに候ハぬよし候、もっともに候、大しんおち・さんミ・と山(外山)ふうふ・とうかうおは、其外女ニもふうくう(風雅)ゆたん有ましきむね、よく/\申きかせ、よきやうにこ、ろえ候へく候、かしこ、 天正十九年し(閏)三月十九日 義ひろ(花押) さいしやうとのへ (「御文庫廿二番箱六巻中」「義久公御譜中案文有之トアリ」 )
根拠・参照箇所
鹿児島県史料旧記雑録後編2の「(5)457~577頁(天正18~天正20).pdf」から744文書をnotebooklmで原文写しを実施。
投稿者
keicho
投稿日
2026-08-10

書き下し文

管理人採用済み
猶々(なおなお)、今夜もそなたを夢に正しく見参らせ候て、ただいま対面したかのようにございました。また、良い便りのある折には、度々同じ事であっても、手紙で申してこられたならば、嬉しいことでございます。又八郎(家久)の謡(うたい)・手習いそのほかの嗜(たしな)み、油断のないように意見(指導)してください。長満(忠清)のことも手習いをさせることが肝要です。手本については、門跡(もんぜき)様へお願いして受け取り、送り下しましょう。又一郎(久保)夫婦仲が良いと聞きまして、自(みずか)らが心には、月星の光を待ち得た時よりも、嬉しく存じます。折々の意見も、間(ま)が良いように言ってやってください。また若島・卒松へも、そちらからこちら(京都)は何事もないという旨を、心得て伝えてください。万事めでたくめでたく。 後の正月(閏正月)二十六日の手紙が、ようやくこの頃届きました。まずもってそちら様、上中下(身分の上下)に至り、何事もないとのこと、めでたく存じます。前にも申しましたように、この度は、いよいよ頭の雪(白髪)も降り積もり、老いの波(しわ)の立ち重なった面影は、朝の鏡で見るにつけ、我ながら情けないほどに思われます。帰って対面したならば、「こんな(老人)になってしまったものか」と、人違いではないかと驚かれるのではないかと思うばかりです。世の習いとして、年月が過ぎ去るのは惜しむべきことですが、早く(薩摩へ)下向できる時を待ちわびる心ゆえか、月日の移り変わりも遅く感じられるものです。又一郎殿は、せっせとその地(領地)へ越(こ)され候や(行かれていますか)、知るべきことに候。又八郎が風雅(芸事)に油断がないとのこと、肝要なことです。長満、御下君(忠清と弟)の御両人、いずれもいずれもおとなびてこられましたか。とりわけ御両人のことは懐かしく(珍しく)思います。万事、祈念を疎かにしないとのこと、もっともなことです。大進、おち、三位、外山夫婦、東郷おは、そのほか女たちにも、風雅を忘れないように、よくよく言い聞かせ、そのように心得させてください。かしこ。
根拠・参照箇所
notebooklmを活用し書き下し
投稿者
keicho
投稿日
2026-08-10

現代語訳

管理人採用済み
追伸:今夜もあなたの夢をはっきりと見まして、たった今お会いしたかのような心地でした。また、良い便りの機会があれば、何度同じ内容であっても、手紙で知らせていただければ、これほど嬉しいことはありません。又八郎(忠恒)には、謡(うたい)や習字、その他の嗜みを怠らないよう、よく指導してください。長満(忠清)にも習字をさせるのがよいでしょう。お手本については、こちらで門跡様にお願いして手に入れ、そちらへ送りましょう。また、跡継ぎの又一郎(久保)夫婦の仲が良いと聞いて、私の心には、暗闇で月や星の光をようやく得られた時よりも、嬉しく感じられます。折に触れての助言も、角が立たないように言ってあげてください。若島や卒松の方々へも、そちらから「こちら(京都の義弘)は何事もない」ということを、よく伝えておいてください。何より喜ばしいことです。 閏正月二十六日付のお手紙が、ようやく近頃届きました。何はともあれ、そちらの皆さんが身分の上下にかかわらず、無事であるとのこと、大変めでたく思います。以前にも書きましたが、今回の滞在で、いよいよ私の頭には白髪が降り積もり、顔には老いのシワが重なって、朝、鏡を見るたびに自分でも情けなくなるほどです。帰郷してお会いしたら、「まあ、こんな風になってしまわれて」と、人違いかと思うほど驚かれるのではないか、とばかり思っています。世の常として、月日が過ぎ去るのを惜しむものですが、早く(薩摩へ)帰れる時を待ちわびているせいか、月日が経つのがかえって遅く感じられてなりません。又一郎(久保)殿は、せっせと各地(領地)へ出向いていますか。現地の状況を知っておくべきことです。又八郎が教養の嗜みに励んでいるとのこと、大切なことです。長満(10歳)と御下君(8歳)のお二人のご兄弟は、どちらもお利口に、大人びてこられましたか。特にお二人(御両人)のことは懐かしく思い出されます。神仏への祈念を欠かさないとのこと、もっともなことです。大進、おち、三位、外山夫妻、東郷おは、その他の侍女たちにも、教養の嗜みを忘れないように、よくよく言い聞かせて、そのように心得させてください。かしこ。
根拠・参照箇所
notebooklmを活用し現代語訳
投稿者
keicho
投稿日
2026-08-10